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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第11回 CFC税制の基準所得金額の計算における配当控除と当初申告要件

  秋元 秀仁

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略歴  旧大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士、青山学院大学大学院非常勤講師、財務省「新BEPS研究会」委員、国税庁税務大学校講師。

 事案の概要   争点   判断(東京地裁)

 検討

1 合算課税の対象とされる基準所得金額の計算

2 基準所得金額の計算における受取配当控除と当初申告要件

3 当初申告要件の趣旨・目的

4 政令委任の範囲の逸脱性の論点

5 外国子会社配当益金不算入制度における当初申告要件撤廃との関係

6 宥恕規定の適用(やむを得ない事情の有無)の可否とその射程

7 本判決を踏まえたCFCに関する申告実務と留意点・課題

Ⅰ 事案の概要

≪事実関係≫

(1) X等(双方争いなし)

ア Ⅹ(原告)は、産業用機器の製造及び販売を営む会社等の株式等を所有することで当該会社等の事業活動の支配・管理などを目的とする株式会社である。

イ S社は、スイスに所在する法人であり、Xは、2017年(平...