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[全文公開] 国際税務の英単語 Consolidated Financial Statements(連結財務諸表)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、グローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)に関する用語です。

日本の国際最低課税額に対する法人税の制度において、「連結財務諸表」の定義は、「特定多国籍企業グループ等の最終親会社等( UPE:Ultimate Parent Entity )の連結等財務諸表に係る会計処理の基準に従って企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類」というよくわからないものですが、この連結財務諸表を英訳すると Consolidated Financial Statements です。これは「財務諸表」を意味する financial statements に、個別財務諸表( separate financial statements )と区別する趣旨で、「連結(の)」を意味する consolidated を付けただけです。

余談ですが、グローバル・ミニマム課税の関係では、連結財務諸表が CFS と略されていることがあります。会計に慣れている方々には違和感のある略語だと思うので、キャッシュ・フロー計算書( cash flow statement )と混同しないように注意が必要です。

話を戻すと、国際最低課税額に対する法人税の制度では、「連結財務諸表」ではなく、「連結等財務諸表」という用語のほうがよく用いられます。もちろん、連結「等」財務諸表には、最終親会社等が作成する連結財務諸表( Consolidated Financial Statements )が含まれます。一方で、海外子会社を有せず、海外支店のみを有する会社等が作成する財務諸表も連結「等」財務諸表の範囲に含まれます。ただし、いずれの財務諸表についても、「特定財務会計基準」または「適格財務会計基準」に従って作成されている必要があります。

このうち、特定財務会計基準とは、OECDのモデル・ルールにおいて許容される財務会計基準を意味するため、英訳すると、 Acceptable Financial Accounting Standard です。具体的には国際財務報告基準( IFRS )や日本または米国など一定の国・地域において一般に公正妥当と認められる会計処理の基準がこれに該当します。

もう一つの適格財務会計基準とは、上記モデル・ルールにおいて承認された財務会計基準( Authorised Financial Accounting Standard )に相当し、最終親会社等の所在地国において一般に公正妥当と認められる会計処理の基準を意味します。