米国税制改革 「ひとつの大きく美しい法案:OBBBA」の概要と日本企業への実務的影響
DLA Piper(ディーエルエイ・パイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所) シニアタックスディレクター・税理士・国際税務クリニック院長 山田 晴美
DLA Piper LLP(US) カルロス・ハビエル・バカ・バルベルデ
1.「ひとつの大きく美しい法案:OBBBA」とは?
2025年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、米国税制の大幅な見直しを含む包括的な法案であり、米国内外の投資家にとって税務環境に大きな影響を与える転換点となりました。特に重要なのは、日本企業を含む非米国企業による対米投資に影響を与える国際税制の変更です。
OBBBAの適用範囲は広範ですが、本稿では外国投資家にとって最も重大な次の変更点に焦点を当てました。
① GILTI(グローバル無形低課税所得)制度の抜本的見直し
② FDII(外国源泉無形所得)控除の変更
③ BEAT(税源浸食防止税)の改正
④ 新たな送金移転税の導入
OBBBAは、米国税制の近代化を図るとともに、OECDによるBEPS(税源浸食と利益移転)への対応や「第2の柱」に基づくグローバル最低税率制度など、国際的な税務動向に対応するための包括的な取り組みの一環として成立しました。
本法案に含まれる国際税務関連の規定は、主に2026年開始の課税年度から適用される予定です。そのため、多国籍企業グループにとっては、組織構造やコンプライアンス体...





