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移転価格税制 海外子会社に対する貸付に係る金利の算定方法

 税理士 澤田 耕

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1 はじめに

OECD移転価格ガイドラインにおいて、第10章(金融取引に係る移転価格の側面)が追加されたことを受け、令和4年6月に金融取引に関する移転価格上の取扱いを明確にするため、移転価格事務運営要領が改正されました。

この改正では、移転価格事務運営要領3-7において、金融取引に係る移転価格調査を行う場合に、 租税特別措置法関係通達66の4(3)-3 で示されている5つの要素(棚卸資産等の種類・内容、当事者の果たす機能、契約条件、市場の状況、事業戦略)等に基づいて、通貨、貸借時期、貸借期間その他の金融取引の内容等を的確に把握し、移転価格税制上の問題の有無を検討することが明らかにされています。

また、移転価格事務運営要領3-8において、国外関連者との金融取引(貸付・借入取引)に係る独立企業間価格の検討を行う場合には、当該金融取引の対価が最も適切な方法により算定されているかを検討すること及び比較対象取引を現実に行われている取引の中から見出すことが困難な場合の取扱いが規定されています。

具体的には、金融取引における利率その他現実に行われる取引に依拠した客観的な指標(市場金利等)で当該金融取引と通貨、貸...