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国際課税の最新動向 主要な改正案に係る国際的議論

Alvarez & Marsal グローバル・タックス・ポリシー・リーダー マット・アンドリュー
A&M Japan税理士法人 代表社員 須藤 一郎

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1.はじめに

経済のグローバリゼーションの加速に伴い、従来の税制ではデジタル化と分散化を特徴とする現代のビジネスモデルに対応できない局面が顕著になってきています。バーチャルオフィスの普及、人材のグローバルな活動、無形資産価値の増大などにより、課税権の境界は益々曖昧になり、国際課税の抜本的な改革の必要性が高まっています。政策当局、執行当局そして納税者である多国籍企業(MNE)は、従来の課税原則を新たな視点で再考し、より柔軟かつ適応性の高い税制を共同で構築していく必要に迫られています。本稿では、特に重要な以下の3つの課題について考察します。

グローバル・モビリティ:リモートワークに対応した恒久的施設(PE)の規定をどのように再構築すべきか移転価格:取引の実体と移転価格算定方法の関係に起因する各種論点にどのように対応すべきか第1の柱の利益A:デジタル経済における利益配分の規定をどのように再構築すべき...