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インド 出向者給与に対するGST課税問題をめぐる最新判例と実務対応

AsiaWise会計事務所 公認会計士・税理士 高野 一弘

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出向者給与に係るGST課税の概要やこれまでの経緯は、 2024年12月号「中国・インド 日系企業が直面する国際的な人材活用とその実践的課題 第5回 インド出向者GST課税問題アップデート」 でも詳解いただいています。ご参照ください。

(編集部)

1.はじめに

インドにおける出向者給与に対するGST(物品・サービス税)課税問題は、ここ数年にわたり多国籍企業にとって最も注目されるテーマの一つとなっています。発端は、2022年5月の最高裁判決(Northern Operating Systems事件)であり、当該判決では、「人件費」でありサービス税(インド付加価値税の一つであり、後にGSTに吸収され消滅)の対象外と取り扱われてきた「出向者給与・負担金」を、国外関連者からの「役務提供の対価」と位置づけ、サービス税の課税対象と判断しました。

その後、インド税務当局はこの判決を根拠に、「出向者給与・負担金」を役務...