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英国における源泉所得税の調査動向~英国への出向者が日本で加入する年金・健康保険等について~

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー・英国勅許税理士 ラッセル・バード
 シニアアドバイザー・税理士 飯塚 信吾

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日本企業の英国拠点に対し、英国歳入庁(His Majestyʼs Revenue and Customs)(以下「HMRC」という)から日本の健康保険などに関する税務調査が行われているという新聞報道が2025年2月に行われました。日本の健康保険制度(以下「健保」という)では、健康保険法により所定の雇用主に雇用主負担の拠出が義務付けられ、この雇用主負担分と自己負担分を健康保険組合等に拠出することにより、各従業員等に健康保険の加入資格が生じます。

英国に拠点を有する日本企業は多数あり、一般的に、各出向者(海外赴任者)は引き続き日本の健康保険等に加入していることから、その影響も大きいと考えられるため、英国における調査の状況、背景などについて解説するとともに、併せて海外への出向者(海外赴任者)に関する日本の健康保険等の取扱いについて留意すべき点を解説いたします。

Ⅰ.英国における税務調査の動向

1.税務...