※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 書評 山田 二郎 著『95歳現役弁護士~歩んできた道と納税者の権利保護~』(2025年10月25日発行/田畑書店)

 税理士 川田 剛

( 115頁)

租税法を若干でも学んだことのある人であれば、本書の著者である山田二郎先生の名は、誰でもがご存知のことと思われる。

周知のように山田先生は、シャウプ勧告で知られるシャウプ教授の提言により日本の大学(東大と京大)で租税法講座がスタートした時の第1期生である。

大学卒業後、当初は裁判官の道を歩まれたが、その後法務省(大阪法務局)に出向され、そこで国側の代理人の訟務検事として有名なサラリーマン訴訟(いわゆる大島訴訟)にも関わってこられた。

この事件は、学生が判例研究会等で必ず目にする有名なものなので、たとえ山田先生の名を知らない方でもご存知ではなかろうか。

その後、法務省の訟務局参事官、同局第5課長(現租税訟務課長)等の要職を経て昭和59年に退官、東海大学教授に就任され、研究者としての立場から引き続き租税法の分野の研究発展に尽力してこられた。

また、租税法学会の創設に当たっては、金子宏先生などとともに中心メンバーとしてその発展に多大な貢献をしてこられた、まさにこの分野のパイオニア的存在である。

評者が山田先生と初めてお会いしたのは、国税庁に入庁後、先輩に誘われて、当時東大で月1回程度開催されていた租税判例研究会に参加した時である。

その当時、山田先生は、実務界の代表として、学会の代表である金子先生とともに同研究会をリードしておられた。

同研究会はその後、開催場所を法務省内に移し、現在も引き続き実施されているが、山田先生はそのほとんどについて出席され、貴重なご意見を開示してこられた。

このように、常に前向きに取り組んでこられた山田先生の姿勢は、95歳になった現在でも少しも変わっていない。実務界及び学会の双方にわたって活躍してこられた山田先生は人生のはるか後輩である評者にとって、格好の人生モデルでもある。

本書は、そもそもは文藝春秋社から発刊予定だったようであるが、山田先生の意図と出版社の意図が若干異なったことなどもあって、田畑書店からの刊行となったと伺った。

そのようなこともあって、全体で170頁程度の文庫本形式の読み易い形となっている。

単に租税法の分野のみでなく、「人生いかに生くべきか」についても示唆に富む多くの内容が含まれた本書は、税法の研究者、税務実務家、企業の税務担当者など税務の専門家のみでなく、これから租税を勉強してみようかという学生諸君、さらには税金にあまり関心はないが、健康長寿には関心があるという皆様にも是非一読をおすすめしたい格好の良書である。

(評者:川田 剛)