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民法改正(相続編)による税務への影響 第5回 「配偶者居住権・配偶者短期居住権」について(後編)

 税理士 石橋 將年

( 58頁)

Q.

私は税理士をしておりますが、ある資産家(70歳代:男性)から、今後の相続について相談を受けました。自身に重い病気が見つかり、今後も長く治療が続くようで、「私が亡くなった場合に備えて、相続税の試算をしてもらえないか」という依頼です。

財産のうち主なものは、自宅と預貯金で、預貯金は老後資金としてかなりの額があるようです。法定相続人に該当するのは妻・長男(会社員)の二人となり、家族仲は極めて良好で、遺産分割で揉めるといったことは、まず考えられないとのことです。なお、長男は数年前に自宅を購入し、両親の自宅近所に住んでいます。

こうした家族仲のいいケースでは、今度創設される「配偶者居住権」を適用した方が...