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税金裁判の動向【今月のポイント】第208回 代表者に対する貸付金の返済を受けるために支給した現金の法的性質

西武文理大学サービス経営学部 准教授 道下 知子

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法人がした特定の役員に対する金員の支給又は経済的利益の供与が、その者の臨時的な給与(役員賞与)として、課税庁から認定課税されることがあります。

給与所得については、 所得税法28条 1項で定められていますが、「給与等」の具体的な定義規定は置かれていません。したがって、何らかの収入が「給与等」に該当するか否かを判断する一般的な基準がないため、裁判例は、各事案により個別具体的な事実認定に基づいて判断しています。

それでは、特定の役員に対して支給した金員等は、どのような場合に給与所得と判断されるのでしょうか。

今回は、この点について争われた判決をご紹介しましょう。

事実の概要

社団法人であったX(原告・控訴人)は...