※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

税金裁判の動向【今月のポイント】第210回 固定資産評価審査委員会による審査の過程で主張しなかった事由を取消訴訟において主張することの可否

香川大学法学部 教授 青木 丈

( 92頁)

固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合には、まず固定資産評価審査委員会に審査の申出をしなければならず、その決定になお不服がある場合に限って裁判所にその取消しの訴えを提起することができます(不服申立前置主義)。それでは、審査の申出の際に主張していなかった事由をその決定の取消訴訟において主張することは許されるのでしょうか。

今回は、この点について示された最高裁判所の判断をご紹介しましょう。

審査の申出と不服申立前置主義

まず、審査の申出の概要と不服申立前置主義の意義について確認しましょう。

地方税法に基づく処分に関する不服申立手続は、原則として行政不服審査法の定めによることとされています(地法1...