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税金裁判の動向【今月のポイント】第213回 建物等の譲受の場合における課税仕入れの時期

広島修道大学法学部 教授 奥谷 健

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土地・建物を購入する場合、契約を締結し、代金を支払い、所有権移転登記がなされます。このような建物等の取得とそれに係る費用について、仕入税額控除が認められる課税仕入れの時期はどのように判定するのでしょうか。「資産の譲渡等」の時期についてどのように解するべきなのでしょう。

今回は、この点について争われた事例を紹介しましょう。

事実の概要

原告は、①不動産の賃貸借及び所有・管理・利用、②それらに附帯関連する一切の業務を事業目的として設立された、 消費税法12条 1項にいう新設分割子法人です。

原告は11月末決算ですが、新設分割により設立された法人であることから、6月末決算の新設分割親法人の平成24年6月1日から...