特定社会保険労務士　小野 純

今回は「懲戒」と「表彰」を取り上げます。これらは、就業規則において必ず記載しなければならない絶対的記載事項ではありませんが、従業員を管理する上では大変重要な役割を担っています（一般的には見場の良い「表彰・懲戒」の順で記載しますが、労務管理の重要度の観点から、本稿では懲戒を前にしました。）。

まず、懲戒制度ですが、会社が懲戒処分を行うためには、事前に就業規則等で懲戒に関する規定を定めておく必要があります。また、就業規則に懲戒規定を定める前に行った労働者の行為に対して、さかのぼって懲戒処分をすることもできません。したがって、就業規則の制定は従業員が常時10人未満の場合は義務ではありませんが、リスク回...