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税金裁判の動向【今月のポイント】第223回 遺産分割協議成立後の更正の請求事由

名城大学法学部 教授 伊川 正樹

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未分割での相続税の申告(相法55)後に、取得財産が確定したことによって当初申告の内容に変動が生じた場合には、更正の請求を行うことができ(相法32①一)、それに伴って他の相続人に税額等に変動が生じた場合には更正処分が行われます(相法35③一)。それらの事由は、各相続人の取得財産が変動したこととされていますが、遺産分割協議中に取得財産の評価方法が訴訟によって変更された場合、その後の更正の請求事由として、かかる評価方法や価額の変更は含まれるのでしょうか。

今回は、これまでに争われたことがない上記の論点について、最高裁が示した判決をみていきましょう。

事案の概要

(1)本件申告と前件更正処分

本件における被相...