※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

税金裁判の動向【今月のポイント】第225回 取引相場のない株式が譲渡された場合のみなし譲渡に係る当該株式の評価方法

 広島修道大学法学部教授 奥谷 健

( 57頁)

個人が法人に対して資産を低額譲渡した場合には、みなし譲渡課税が行われます。その低額譲渡に該当するかは、対価の額が時価の2分の1未満であるかどうかが基準となっています。そのため、その資産の評価額が問題になります。特に、取引相場のない株式の場合、財産評価基本通達の例により算定することとなっていますが、その不明確さから問題が生じることがあります。

この点が争われた事案について、本連載で、高裁(第197回、2019年7月号)と最高裁(第211回、2020年9月号)の内容を紹介しました。最高裁は、株式の譲渡直前の議決権割合によって、評価方法を判断すべきと示しました。そして、具体的な評価については、高裁に差...