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実務に活かす「行動経済学」第2回 表現に騙される人間
明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶
( 82頁)
「コップに半分の水がある」と捉えるか、「コップに半分しか水がない」と捉えるかで意識が異なる、という話はよく聞いたことがあるかと思います。実は、そういった表現の差異が個人の意思決定に大きな影響を与えます。
今回は、「表現に騙される人間」というテーマで、表現方法が個人の意思決定に与える影響について考えていきます。
1.フレーミング効果
はじめに、 設例1 を考えてみてください(Tversky and Kahneman, 1981)。
設例1 600人が死んでしまう恐れのある伝染病への対応策として、次のAとBの二つがあります。あなたはどちらを採用しますか?A:200人が助かるB:1/3の確率で600人が助かるが...