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税金裁判の動向【今月のポイント】第229回 専門学校の授業料の必要経費該当性

 名城大学法学部教授 伊川 正樹

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柔道整復師として施術に当たるためには、一定の教育を受けて柔道整復師の資格を取得しなければなりません。柔道整復師の資格を有していない者が他の有資格者を雇って接骨院を開業しており、その後に自らが同資格を取得するために専門学校に通うために支払った授業料等は、その者の事業所得の金額の計算上、必要経費として控除することができるのでしょうか。

今回はこの点が争われた事案をみていきましょう。

事案の概要

X(原告・控訴人)は、平成23年9月から本件接骨院を開設し、柔道整復業及びカイロプラクティック、理学療法による整体業を営む個人ですが、本件接骨院の開設当時、柔道整復師の免許を有していませんでした。

本件接骨院の開設...