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実務に活かす「行動経済学」第4回 ヒューリスティクス(2)
明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶
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前回 は、ヒューリスティクスのうち、利用可能性ヒューリスティクスと代表性ヒューリスティクスを中心に説明しました。今回は、それ以外のヒューリスティクスとして、アンカリングと調整効果について紹介します。さらに、自分について都合の良い情報ばかりを集めてしまい、反対の意見を無視してしまう確証バイアスなどの関連する内容についても紹介します。そして、そのヒューリスティクスがなぜ人間に備わっているのか、進化心理学的な観点から検討します。
1.アンカリングと調整効果
1 アンカリング効果とは
アンカリングと調整効果(以下「アンカリング効果」といいます。)とは、不確実な事象について予測する時、はじめにある値(アンカー)...