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実務に活かす「行動経済学」第5回 確率と人間
明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶
( 88頁)
我々の日常生活においては、日々、意思決定が求められます。しかし、人間の認知能力の限界から、論理的・合理的なアルゴリズムに沿った意思決定だけを行うことは難しく、直感や感情といったものの影響を受けるヒューリスティクスにもとづいた意思決定を下していることが明らかとなってきました。その結果、我々の意思決定には様々なバイアス(偏り)が生じること、さらにはそのようなバイアスが我々の日常生活に大きな影響を与えていることを紹介してきました。
このようなバイアスは確率に関する認知においても存在します。今回は、確率認知におけるバイアスを紹介します。
1.リスクと不確実性
今回は「リスク」という言葉がメインテーマとなりま...