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税金裁判の動向【今月のポイント】第234回 税理士による長期間の調査拒否のため巨額の仕入税額控除が否認された場合の損害賠償責任

香川大学法学部 教授 青木 丈

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本連載 第228回 (本年2月号)では、実地の調査が行われずに課税庁の独自調査によって巨額の仕入税額控除が否認されてしまった事例をご紹介しました。この結果を招いた最大の原因は、顧問税理士が約1年3か月もの間にわたり実地の調査を拒み続けたことにありました。そこで納税者は、その税理士に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。

今回は、その地裁判決をご紹介しましょう。

事案の概要

パチンコ店を営んでいるX社(原告)との間に平成4年頃から税務顧問契約を締結していた公認会計士でもあるY税理士(被告)は、X社の税務代理人として、平成24年6月期~同26年6月期の消費税等について、それぞれ法定申告期限内に確定申告をしま...