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実務に活かす「行動経済学」第7回 ゲーム理論の実験 ~利他・公正・信頼~

明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶

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前回 はゲーム理論を紹介しました。ゲーム理論とは、おおよそ複数の主体が存在する状況における意思決定に関する分析であり、異なるインセンティブを有する主体が集まる社会の分析において非常に有益であると解されます。今回は、その中でもゲーム理論にかかわる実験が明らかにしてきた個人の社会性にまつわる研究成果を紹介します。

連載第1回において、標準的な経済学では、「他人を顧みず、自らの利益のみを追求する」合理的経済人(ホモ・エコノミカス)を前提としているが、現実の人間は「他人のことも考える」という話をしました。例えば、皆さんも電車でお年寄りや身体が不自由な方、ケガをされている方などに座席を譲ったことがあるのでは...