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実務に活かす「行動経済学」第9回 ナッジとは

明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶

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我々にとって、慣れ親しんできた行動習慣を変容させることは容易ではありません。意識的につけ無意識的につけ、長年行ってきた習慣通りの行動をしてしまうことがあります。どうすれば、人々に従来の習慣通りの行動を避けてもらい、行動変容を促すことができるのでしょうか。今回は、行動経済学・行動科学におけるナッジの考え方を説明した上で、国内外におけるナッジの事例を紹介します。

1.人の行動を変える方法

人々の行動を変化させる一番わかりやすい方法は、「インセンティブ」を使うことです。

このインセンティブとは、やる気を引き出させるための外的な刺激のことを指します。「お金」による報償や罰金はそのインセンティブの典型例であり...