※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

税金裁判の動向【今月のポイント】第239回 親子間における土地の使用貸借契約に基づく駐車場収入の帰属

立命館大学法学部 教授 安井 栄二

( 92頁)

親が保有し、すでに賃貸している土地の使用貸借契約を親子間で締結し、子に当該土地の使用収益権が与えられた場合、当該土地から生じる賃料は、民法上、子に帰属することになります。それでは、所得税法上も、当該賃料を子が享受したことになるのでしょうか。

この点が争われた事案について、本連載で、大阪地判の内容を紹介しました( 本誌2022年7月号 参照)。大阪地裁は、当該土地から生じる賃料を子が実際に収受していることなどから、所得税法上も子が当該賃料を享受していると判断しました。ところが、その控訴審において、原審の判断を覆す判示がされました。今回は、この事案について再びみてみましょう。

事実の概要

改めて事案の概要を...