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税金裁判の動向【今月のポイント】第240回 相続税の調査によって所得税の修正申告をした場合の「更正予知」該当性

香川大学法学部 教授 青木 丈

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平成28年以前は、「 その申告に係る国税についての調査があったことにより 当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」(下線筆者)になされた修正申告については、過少申告加算税は課されないこととされていました。それでは、(その申告に係る国税ではない)別の税目の調査が契機となってなされた修正申告の場合についても、やはり過少申告加算税は課されないのでしょうか。

今回は、この点について争われ、現行法下においても参考になると思われる事案をご紹介しましょう。

事案の概要

本件被相続人は、平成25年10月31日に死亡した当時、日本国内及び韓国に財産を保有していました(以下、韓国国内に所在する財産...