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事例からみる 名義財産の実務 第2回 不動産の帰属認定

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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今回は、不動産の帰属認定について検証します。

民事上の裁判例を取り上げてから、税務上の裁判例をみていきます。

1 民事裁判における事例

(1)資金拠出者及び贈与契約の証拠の重視

最高裁昭和34年7月14日第三小法廷判決(民集13巻7号1023頁)は、夫婦間の財産の帰属についての判決ですが、問題となった土地の登記上の名義人が妻名義ではあったものの、①その取得についての資金は夫の経営に係る旅館の収益金から拠出したものであること、②妻名義にした理由が旅館の営業名義人が妻であったことにより当事者協議の上で所有名義人を妻としたに過ぎないこと及び③妻は贈与されたことを主張するが贈与契約のなされた事実を認めるに足り...