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税金裁判の動向【今月のポイント】第244回 土地建物が一括譲渡された場合の建物に係る消費税の課税標準の算定方法

青山学院大学法学部 准教授 道下 知子

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事業者が課税資産と非課税資産とを同一の者に対して同時に譲渡した場合、それぞれの譲渡対価の額が合理的に区分されていないときは、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、これらの資産の譲渡等の時における課税資産の価額と非課税資産の価額との合計額のうち、課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額です( 消令45 ③)。

この場合の割合に係る算定方法は、どのような方法に合理性があるといえるでしょうか。

今回は、その算定方法について、固定資産税評価額比率の方法又は鑑定評価額比率の方法のいずれに合理性があるのかが争われた判決について紹介しましょう。

事実の概要

不動産貸付業を営む個...