弁護士　松浦 絢子

今回から、賃貸借契約の終了時に発生する法律問題を取り上げます。

賃貸借契約の終了時に発生するトラブルのうち、もっとも多いのは原状回復費用の負担をめぐる問題です。例えば、賃貸物件の明渡し時に居室に損耗があった場合、これを修繕する費用を借主に請求してよいかという問題です。また、クリーニング費用に関しても、相場より高額であった場合には借主から費用負担についてのクレームを受けることがあります。このため、賃貸オーナーとしては、敷金の返還に関するルールは理解しておく必要があります。

また、敷金の返還以外に案外多いのが残置物の処分に関する問題です。いわゆる夜逃げなど、退去時に借主と連絡が取れず、居室内に借主の所...