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事例からみる 名義財産の実務 第3回 定期預金の帰属認定

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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今回は、定期預金の帰属認定について検証します。

民事上の裁判例を取り上げてから、税務上の裁判例をみていきます。

1 民事裁判における事例

最高裁昭和52年8月9日第二小法廷判決(民集31巻4号742頁)は定期預金についての帰属認定の判決です。定期預金の性質については、預けて同種のものを返すということで、民法666条の消費寄託契約の性質を有するものとされています。

ここで争われた事案は、Aが、Y信用組合のBからの申し出に基づいて、Y信用組合の職員定期預金を行うと利率が高いということであったので600万円をBに預けて、B名義の定期預金を作り、証書と印鑑をAが預かっていたというものです。Bが様々な事情からY...