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事例からみる 名義財産の実務 第4回 普通預金の帰属認定

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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今回は、普通預金の帰属認定について検証します。

民事上の裁判例を取り上げてから、税務上の裁判例をみていきます。

1 民事裁判における事例

普通預金の帰属認定に関する判例として、 最高裁平成15年2月21日第二小法廷判決(民集57巻2号95頁) をご紹介します。この事案の概要は以下のとおりです。

X保険会社(以下「X」といいます。)の代理店A社がY信用組合(以下「Y」といいます。)余市支店の普通預金口座を、「X代理店A社」という名義で作成し、毎月20日頃に保険料相当額を引き出して、代理店の手数料としてA社の取り分を抜いてそれ以外をXに振り込むということをしていました。当然、通帳の管理はA社のBがしていたので...