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事例からみる 名義財産の実務 第6回 株式の帰属認定

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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今回は、株式の帰属認定について検証します。

民事上の裁判例を取り上げてから、税務上の裁判例をみていきます。

1 民事裁判における事例

最高裁昭和42年11月17日第二小法廷判決(民集21巻9号2448頁)は、株式の帰属認定についての判決です。Y社の代表取締役であったAは他の役員と計り、会社資金をもって新株の払込みに充てることを計画し、Y社の従業員Xら12名の名義を借りて引受け及び払込みの手続をすることとし、あらかじめ従業員から承諾を得た後、Aは、払込金額に相当する金額を特別賞与として上記従業員らに支給し、その発行手続を了しました。その後、XはY社に対して新株に係る株券の引渡しを求めたというものです。...