※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

税金裁判の動向【今月のポイント】第248回 キャプティブ保険子会社への外国子会社合算税制の非関連者基準の適用の可否

立命館大学法学部 教授 望月 爾

( 54頁)

「キャプティブ」とは、自社及び自社グループのリスクを専門的に引き受けるための保険子会社のことをいいます。近年、ビジネスリスクの高まりや多様化が進む中で、海外の損害保険市場から低コストで高額かつ広範な補償を確保したいというニーズから、日本企業がタックスヘイブンにキャプティブ保険子会社を設立する例が増えています。それに対し、平成31年度税制改正により外国子会社合算税制が見直されて課税が強化されています。

今回は、大手自動車製造販売会社のキャプティブ保険子会社への外国子会社合算税制の非関連者基準の適用の可否が争点となった事案を紹介します。

事実の概要

X社(原告・控訴人)は自動車等製造販売業を営む内国法人...