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特集2 【特別解説】マンション評価に係る改正通達の問題点-前編-

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁
 不動産鑑定士 佐藤 実

( 34頁)

はじめに

令和5年9月28日に課評2-74ほか「居住用の区分所有財産の評価について」法令解釈通達が発遣されました(40頁〔資料1〕参照、以下「改正通達」といいます。)。

これは、令和4年4月19日の最高裁第三小法廷判決(以下「令和4年最高裁判決」といいます。)を踏まえた上で、令和5年度の与党税制大綱においてマンションの評価方法について適正化を検討するとされたことから、国税庁が開催した有識者会議において見直し案が検討され、同年6月30日に「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」という資料が公表され、それに基づき発遣されたものです。

本稿では、従前の経緯をまとめた上で、改正通達の問...