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特集2 【特別解説】類似業種比準価額適用における総則6項の適否の判決について
税理士 中島 孝一
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はじめに
総則6項の適否を巡る直近の裁判例である最高裁令和4年判決では、通達評価額と鑑定評価額との間に大きなかい離があり、あわせて、そのかい離は納税者が相続税額を減額する効果のある銀行借入金による不動産購入といった積極的な行為を相続開始前に行っていたという事情(「特段の事情」)があることから、最高裁は処分行政庁の主張を認め、総則6項の適用ありと判示しました。
今回取り上げる東京地裁の判決は、「特段の事情」がなくても、通達評価額と鑑定評価額との間に大きなかい離があれば総則6項が適用されるか否かという争いです。
東京地裁は、納税者の主張を認め総則6項の適用なしと判示しましたが、控訴されましたので東京高裁...