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税金裁判の動向【今月のポイント】第254回 資本増強目的の特定目的会社への外国子会社合算税制の形式的適用の是非

立命館大学法学部 教授 望月 爾

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外国子会社合算税制は、タックス・ヘイブン等に所在する租税回避目的の特定外国子会社等の留保所得を親会社の所得と合算して課税する制度です。本来の趣旨は、課税されるべき実体のない事業からの所得を課税することにありますが、近年、その趣旨に反し租税回避の意図のない実体ある事業からの所得が合算課税されるという「オーバー・インクルージョン」が問題となっています。

今回はその一例として、金融機関の自己資本の増強目的の特定目的会社(SPC)に対し、外国子会社合算税制の形式的な適用の是非が争点となったみずほ銀行事件について紹介いたします。

事実の概要

銀行業を営むX社(原告・控訴人・被上告人)は、英領ケイマン諸島に特別...