※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

税金裁判の動向【今月のポイント】第260回 キャプティブ保険子会社への外国子会社合算税制の非関連者基準の適用

立命館大学法学部 教授 望月 爾

( 72頁)

大手自動車製造販売会社のキャプティブ保険子会社への外国子会社合算税制の非関連者基準の適用が争点となった事案について、東京高裁はその適用を認める判断を示していましたが( 本誌2023年10月号 掲載)、最高裁は本年7月18日に一転して否定する納税者逆転敗訴の判決を下しました。

外国子会社合算税制をめぐっては、昨年11月6日のみずほ銀行事件の最高裁判決( 本誌2024年4月号 掲載)に続き、高裁の納税者勝訴の判断が最高裁で覆された事案として注目を集めています。今回はこの最高裁判決を紹介します。

事実の概要

X社(原告・控訴人・被上告人)は自動車等製造販売業を営む内国法人であり、連結納税の承認を受けていました。X...