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税金裁判の動向【今月のポイント】第264回 処分の取消しを求める範囲拡張と不服申立前置主義
香川大学法学部 教授 青木 丈
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国税に関する法律に基づく処分に不服がある場合、原則として、直ちに裁判所に訴えを提起することはできず、まずは、国税不服審判所に審査請求しなければなりません(不服申立前置主義)。そうすると、納税者が、課税処分の一部を審査請求の対象から除いていた場合、その除外していた部分について訴訟提起することは許されないのでしょうか。
今回は、重加算税賦課決定処分のうち過少申告加算税等相当額を超える部分についてのみ審査請求を経ている場合の、過少申告加算税相当額について取消しを求める訴えの許否が争われた事例をご紹介しましょう。
事実の概要
X社(原告)は、処分行政庁の税務調査を受け、平成28年12月21日、処分行政庁に対...