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相続等に備える「家族法」の理解 第8回 成年後見制度の概要
弁護士 松浦 絢子
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家族法というと、本人が亡くなった後の相続問題が注目されがちですが、実務上は本人が存命中の財産管理にかかわる成年後見が重要な規定とされ注目されています。特に、高齢化社会が急速に進展するなかで、高齢者を狙った詐欺事件なども増えています。そこで、本人による管理が難しい高齢者の財産を、本人のために適切に維持管理していく必要があります。
我が国では、高齢者の生活の支援や財産管理を家族が行うことが慣習的に多いとはいえ、成年後見人を選任するのはごく一部の資産家だけ、というイメージを持たれている方もいるかもしれません。しかし、実際には、本人の資産の多寡にかかわらず成年後見人は選任されます。成年後見人を活用するこ...