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附帯税に係る実務 第20回 重加算税―書類の偽造や破棄(所得税)―

 税理士 佐藤 善恵

( 83頁)

前回 は、重加算税の要件とされる「隠蔽・仮装」が問題となった法人税の事例を中心に確認しました。

今回は、「隠蔽・仮装」の典型例ともいえる書類の偽造等を理由に処分された所得税のケースを中心にみていきます。具体的にどのような事実関係のもとで重加算税の適否が判断されているのかを理解しましょう。

Q1

重加算税の条文は、「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し(以下、この要件に該当する事実について本稿では「不正事実」と呼びます。)」という文言です。具体的にはどのようなケースが「不正事実」に該当しますか。

A1  所得税の重加算税通達1(以下「重加通達」といいます。...