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特集 「年収の壁」総ざらい

 税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 金澤 節男

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はじめに

「年収の壁」とは、世帯主の扶養下でパートタイムやアルバイトとして働く人が、税金や社会保険料の負担を避けるために意識する収入基準のことを指します。年収が一定の基準額を超えると、税負担や社会保険料の支払いが発生し、結果として手取り収入が減少するため、多くの人が基準額を超えないように働き控える問題が指摘されています。

さらに、現在の物価上昇に賃金水準が追いついていない点も重要な課題として挙げられます。令和7年度税制改正では、こうした経済環境を踏まえ、税負担の調整と就業調整への対応として「103万円の壁」の引上げが行われました。また、社会保険制度においても、5年ごとの社会保険改革の枠組みの中で、...