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絶対まねてはいけない会計不正 正しい経理を行うために知っておくべき不正事例 第10回 資産の流用、横領 ~近年の不正事例の検証~
公認会計士・税理士 久保 直生
公認会計士・税理士 髙木 伸浩
弁護士・公認会計士 牧江 真弥
公認会計士 鈴木伽奈子
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第4回 で会社の従業員による現金預金などの資産の流用、横領について説明しました。近年、このような従業員による不正は増加傾向にあり、最初は数千円、数万円程度の少額な使込みから始まり、その後、徐々に金額が増大し、不正発覚時には会社に億単位の巨額の損失が生じているケースも珍しくありません。会社にとっては金銭的な損失だけでなく、ずさんな管理体制が明らかとなり、社会的な信用を失うことにもつながります。今回は従業員による資産の流用について、比較的最近生じた事例を見ていきます。
1 増加傾向にある資産の流用、横領
東京商工リサーチによると、2024年に上場企業が開示した不適切な会計及び経理は60件あり、そのうち約...