100%海外子会社に対する親会社の再建支援損失負担

※ 質疑応答の内容は公開日時点の情報に基づくものです
Q

 親会社は経営不振の状態が続いている子会社に対し、経営改善のためのテコ入れをしようと考えています。子会社は現在黒字ではあるものの、年々当期利益を落としている状態で、予算も未達という状況が続いています。親会社として、子会社の分析をした結果、原価経費であるSCM関連費用と、ブランド・マーケティング戦略(販促費投資)について問題があると着目をしました。子会社に提示を行ったところ、親会社の分析結果に関しては、子会社側として不振の主な要因ではないという見解で、現在は新商品開発において不振の状態を回復させると主張しています。

 親会社としては、子会社がこのまま不振が続くようでは困るという点から、子会社のSCM関連及びブランド・マーケティング戦略について外部のコンサルに調査を依頼しました。調査結果(成果物)を親会社が受領した後に下記の通り活用したいと計画しています。

1.子会社のブランド・マーケティング戦略及びSCM関連に対する経営改善

2.親会社がその他海外子会社へも展開するなどの、経営戦略の判断材料

 今回のコンサル費用に関しては、移転価格の事務運営要領2-9(1)の記載にあるように、子会社側としては、親会社が実施しないとしたときに自社の経費を投じてコンサルに調査を依頼しない類の取引となるため、子会社にとっては経済的価値を有する活動でないと判断し、費用については全額親会社負担としますが、子会社に対し今回の調査結果を元に指導を行った後、成果が確認できた場合には、成功報酬として、コストを回収すると考えています。

 また、外部コンサルの調査結果を受領していない状態であるため、上記1に伴うコストが算定できないという点と、経営改善に活用できる成果物が受け取れるという保証も無いため、コンサルとの契約は済んでいるものの、子会社との経営指導に関する契約は現在締結していません。

①当該取引において税務上、コンサル費用は親会社の費用として認識した場合、移転価格税制上の問題はありますでしょうか。また、移転価格税制上の問題が発生するのであれば、事前に回収の契約を締結していればその問題はクリアになりますでしょうか。

②子会社からコストを回収する場合、経営指導料等の金額の算定は、子会社が調査結果により改善した利益の一部を親会社に帰属させる等の根拠をもって算式を作成し計算を行いたいと思いますが、もし計算の結果、「親会社が投じたコンサル費用」>「子会社からの経営指導料収入」となってしまった場合、問題になりますでしょうか。

③回収方法として、本来であれば経営指導料として個別に回収を行うべきですが、今回のコンサルによる改善の恩恵は複数年の利益に影響を及ぼすものであるという性質もあることから配当性向をあげるということで回収することは可能なのでしょうか。

A
(専門家の見解全文 文字数:2812文字)

【伊藤】 ある活動が………

    この続きは企業懇話会 会員限定コンテンツ「質疑応答集」に収録されています
    「企業懇話会」会員になると、本事例だけでなく2,000件以上の経理実務を巡る実用的な事例が読み放題!
    詳しいサービス内容は下記ボタンよりご覧ください。無料でお試しいただけるIDもご案内させていただきます。
  • 「質疑応答集」・「企業懇話会」についてもっと詳しく見る お試し申込