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国際税務研究 非居住外国法人が行う欠損金繰越控除目的の確定申告

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 104頁)

設例

1 外国法人であるA社は,日本国内に恒久的施設(PE)を有しない,いわゆる「非居住外国法人」であるが,日本国内に賃貸目的の商業ビル1棟を有するとともに(ビル管理は専門業者に委託),いくつかの日本法人に投資し,その多くは持株割合が25%超1/3以下の日本子会社となっている。

A社はこれまで,商業ビルの賃貸料所得については日本で青色申告の承認を受けて法人税の申告納税を行うとともに,投資先の日本子会社等からの配当収入については,所得税の源泉分離課税により日本における課税を完結していた。

2 この度,諸般の都合により,この商業ビルを第三者に譲渡したところ,このところのコロナ禍による悪影響のほか,ビル自...