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月刊「国際税務」創刊40周年記念解説 経済のデジタル化とBEPS対処 <3>

国税庁 調査査察部 調査課長 古川 勇人

( 30頁)

経済のデジタル化とBEPS対処の第3回目です。

今号では,IIR課税について解説いただきます。

(編集部)

1.現行のBEPS対処 5月号
2.「利益A」課税 6月号
3.IIR課税 今月号
4.今後のBEPS対処

3 IIR課税

IIR課税についての考え方は,上記1「現行のBEPS対処」を踏まえ,以下のように整理できる 35 (図表4)。

図表4

3-1 基本的な整理

3-1-1 問題意識等

(1)「青写真」での問題意識等(本文末,別紙2)

「BEPS包摂的枠組」が,「第二の柱」の「青写真」を提示するにあたり有する問題意識は,次のとおりである。

  • ① 経済のデジタル化の下,収益要因として無形資産がより重要となっているが,このことは,高度にデジタル化した企業が利益移転プランニングを行うことを容易にしている。
  • ② このような状況において,BEPS対処として「残された課題」に対応するsystematicな解決策が必要である。
  • また,このような問題意識に関連して,「青写真」は,各国の課税権につき次のように述べている。

    ①「第二の柱」は,各国がそれぞれの税制を自由に決定できることを前提とする。② 同時に,「第二の柱」は,ある国での実効税率...