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[全文公開] mutual agreement procedure(MAP)(相互協議手続)

佐和公認会計士事務所  佐和 周

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本連載は,国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが,今回も 前回 に引き続き,移転価格税制に関係する一般的な用語です。

相互協議(手続)とは,納税者が租税条約( tax treaty )の規定に適合しない課税を受け,または受けるに至ると認められる場合において,その条約に適合しない課税を排除するため,条約締結国の税務当局間で解決を図るための協議手続をいいます。

そして,ここでいう租税条約の規定に適合しない課税としては,恒久的施設( PE:permanent establishment )の認定による課税なども含まれますが,移転価格税制( transfer pricing )に基づく課税が主なものなので,相互協議は移転価格課税後の解決策の1つと位置付けられます。

この相互協議(手続)は, mutual agreement procedure と訳されます。また, mutual agreement procedureMAP とも略され,例えば,「相互協議を伴う事前確認」は, MAP APA と表現されることもあります( APAadvance pricing arrangement の略)。

なお,相互協議は,納税者が参加するものではなく,あくまでも権限ある当局の間の協議ですが,この「権限ある当局」を CA と略すことがあります。これは, competent authority の略ですが,ここでの competent は「法的な資格のある」という意味合いです。

編集部より

「英単語」の バックナンバー は,「国際税務データベース(本誌電子版)」をご覧ください。移転価格税制については,次のような専門用語を紹介しています。

株主活動 shareholder activity(2020/11)

オンコール・サービス "on call" services(2020/12)

低付加価値のIGS low value-adding intra-group services(2021/01)

評価困難な無形資産,特定無形資産 hard-to-value intangibles(HTVI)(2021/02)

評価技法 valuation technique(2021/03)

比較対象取引 comparable transaction(2021/04)

利益水準指標 profit level indicator(PLI)(2021/05)

営業利益 operating profit(2021/06)

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