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最近のニュース・トピックを通して学ぶ 租税条約の理論と実際〈16〉利子所得条項の多様性

国際課税研究所 首席研究員 矢内 一好

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1 割引債の償還差益の取扱い

(1)国内法の取扱い

償還差益とは,割引債の償還金額から発行価額を控除した残額のことですが,所得税法では利子所得ではなく雑所得に区分され,租税特別措置法の規定に基づき18%の税率(特定のものは16%)により源泉徴収を要することとされています( 措法41の12 )。国内源泉所得としては,国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得です。

(2)第2次日米条約における取扱い

旧条約である第2次日米条約第13条第7項の利子の定義に,償還差益に関する規定はなく,利子として取り扱われないことから国内法どおりの課税でした。

(3)第3次日米条約における取扱い

米国は,割引債の償還差益も利子所...