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国際税務研究 特殊関係にない第三者との間で行う外国税額控除の枠売り目的の仕組取引

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 129頁)

設例

 日本法人であるA社は,その所得の大半が製品の輸出取引や現地生産による国外源泉所得であるため,これについて納付する外国法人税の額はもとより,外国税額控除の適用によるその控除額も毎期かなり多額なものとなっている。

ただし,国外源泉所得に対する国外課税の法人実効税率が全体所得に対するわが国の法人実効税率に比してかなり低いことが原因となって,このところA社の外国税額控除の控除限度額(以下「外税控除枠」という。)には毎期かなりの控除余裕額が生じ,しかもその繰越期間である3年以内に消化し切れずにそのまま打切りになってしまうものが毎期かなりの金額にのぼっているのが実情であり,この状態は,このままでは今...