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新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第21回 国際税務の使い方③(海外子会社の売却・清算をめぐる問題)

 公認会計士・税理士 佐和 周

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連載 第19回 ~第21回は,国際税務の知識について,「実際にどのような場面で,どのように使うのか」を再確認しています。今回は,海外事業からの撤退という括りで,海外子会社の売却・清算を例として,これまで見てきた知識を再確認しつつ,新たな知識も少しだけ確認したいと思います。

1.海外子会社の売却について考える

まずは,海外子会社(の株式)を売却するケースを考えます。

海外事業から撤退する場合,海外子会社の引受先があれば,海外子会社の株式(またはその他の持分。以下同様)を売却する形で撤退することが多いと考えられます。海外子会社の株式を売却するだけであれば,海外子会社自体はそのまま存続するので,海外子会社の従業員などの雇用も維持されるなど,清算の場合に比べると,スムーズに撤退できる場合が多いためです。

このケースの登場人物は,日本親会社と海外子会社ですが,海外子会社は(自らの株式等を)売却される立場なので,...