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国際税務研究 特許侵害訴訟に伴い非居住外国法人に分割払いで支払う損害賠償金の課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 110頁)

設例

 日本法人であるA社は,輸送用機器の精密部品メーカーであるが,その製造工程においては,多くの技術ノウハウや特許権その他の知的財産権等(以下「知的財産権等」という。)の使用が不可欠であり,A社の場合も,自己所有の知的財産権等のほか,他の者の有する知的財産権等についてその使用許諾を得た上で製品の製造工程において使用している。

ただ,この種の知的財産権等については,大なり小なりその内容に類似するところがあるものが少なくないため,権利侵害があるとして紛争になることが多く,A社の場合も,ある種の知的財産権等の使用について,B国法人で日本国内にPEを有しない非居住外国法人であるC社から特許侵害であると...