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国際税務研究 外資系法人グループの組織再編成と人員整理

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 104頁)

設例

 外国籍企業である外国法人A社(日本に恒久的施設を有していない。)は,日本国内に直接・間接に100%ないし50%超の出資をしているグループ子会社等を10社余り有しているが,これら日本のグループ各社のうちA社の直接・間接の出資割合が100%に満たない日本子会社等はその半数に近い5社で,いずれも古くからの取引関係その他の友好関係にある他の日本法人又は外国法人(いずれも第三者)の出資持分と合わせて100%の出資割合となる合弁会社(以下「合弁5社」という。)である。

このA社傘下の日本グループ各社では,このところの新型コロナ禍による日本経済の低迷の影響をまともに受けて,日本グループ全体として業績の落込みが激しく,その建直しのために抜本的な対策を講ずることが喫緊の課題となっているが,新型コロナ禍の影響による業績悪化もさることながら,もともと日本グループ各社に共通する問題として,とりわけ従業員の高齢化とこれによる生産技術の陳腐化(スキル・ミスマッチ)が日本グループ全体における生産効率の低下と企業体質の劣化を招き,それが日本グループ全体としての業績低迷の潜在的要因になっていたことも否定できない事...