新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第22回 デジタル課税等に関する新しい国際課税の枠組み
公認会計士・税理士 佐和 周
今回は,最近のトピックということで,デジタル課税等に関する新しい国際課税の枠組みについて確認します。
本連載では, 第6回 で恒久的施設(PE)について書いた際に,「PEなければ課税なし」の例外として,デジタル課税に触れました。ただ,その時点からは様々な進展があり,直近では,2021年10月8日に,OECD(経済協力開発機構)がStatement on a Two-Pillar Solution to Address the Tax Challenges Arising from the Digitalisation of the Economy(経済のデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための2つの柱の解決策に関する声明)を公表しました。そこで示された国際課税の枠組みは,10月13日に開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議において支持が表明され,その後のG20首脳会議で承認されています。
今回は,この10月のOECDによる声明の概要について,ごくごく簡単に解説したいと思います。
はじめに
上記のOECDの声明に,"Two-Pillar Solution"(2つの柱の解決策)とあるとおり...